もう勉強どころじゃない。
メガネの奥にある瞳があたしを見るたびに、胸がきゅんと締め付けられる。
「…ま、いいけど。」
ユウは静かにメガネを外して、それを胸ポケットにしまった。
そしてもう一度聞く。
「どこがわかんねぇの?」
「えっ、と…ここら辺とか…?」
何も聞かずにメガネを外してくれたことに少しホッとしながら、ユウにそう言う。
本当は全部わからないんだけど…
また進んだときに聞けばいいよね?
あたしが指差した範囲を、ユウは一通り見て確認してから、ふぅ…とため息をついた。
「…じゃ、まず問1から。ここは……」
それから、ユウは時々嫌みを言いながらも、丁寧に教えてくれた。
武ちゃんもわかりやすかったけど…
ユウもすごくわかりやすい。
あたしがわからないところをピンポイントで教えてくれる。
ユウって………
実は頭良いのかもしれない。
「…ん。だいぶ出来るようになってきたんじゃない?」
「そ、そうかな?」
ユウの瞳が優しくあたしを見つめる。
なんだか恥ずかしくなって、あたしは顔を背けた。