* *






「…で?一体どこがわかんないわけ?」



夕飯を食べ終わった後。



さっきまであった食器の代わりに、あたしは珍しく勉強道具を机の上に広げていた。



目の前の椅子を横に持ってきてユウが座る。



「奈央?聞いてんの?」


「あ、う…えっと…」



ユウが首を傾げて顔を覗きこんでくる。



あたしは必死に顔を見られないように、顔を背けていた。



「奈央どした?顔赤いけど…」


「っ!!」



ユウは真剣に教えてくれようとしてるんだから



ホント、こんなこと気にしてる場合じゃないんだけど…



…反則だよ………





「そ、それ外して…!!」


「は?なんで。」


「い、いいからっ…!!」



ユウは勉強のためなのか、黒縁のメガネをかけていた。



普段見慣れないその姿に、あたしの胸は高鳴ってしまっていた。