「…何?もしかして取り込み中?」
「へ?」
頭上から聞き慣れた声がした。
この声は…
「……ユウっ?!なんでいるの?」
「関係ねぇだろ。」
「なにその言い方…」
「…別に。」
顔をあげると思いっきり不機嫌なユウがいた。
なんか怒ってるし…
あたし、なにか悪いことした?
「奈央、そちら紹介して。」
「え?えっと…」
武ちゃんに言われて気がついた。
この場合、紹介してって言われたら
なんて言えばいいんだろ…?
あたしが二人に挟まれてあたふたしていると、ユウが口を開いた。
「…奈央の兄の赤羽ユウです。」
「っそ、そう!お兄ちゃんなの!」
「あぁ…お兄さんでしたか。私…」
「すみません。今は急いでるので失礼します。」
「へ…ひっ!!ちょっ……ユウっ?!」
武ちゃんが名前を言う前に、ユウがあたしの手を掴んで歩き出した。
引っ張られてうまく歩けない。
振り向くと、武ちゃんは少し複雑そうな顔をしていた。