やがて窓際の一番後ろに在席している私の元へもプリントが回ってくる。
なんだ、何の変徹もないただの200字詰原稿用紙じゃないか。
こんなもの配って、入学の抱負なんて書かされるのだろうか。そうであるならば、先程壮大な授業方針様なんてものを語ったにしては笑わせる、至極普通の授業である。
しかし次に発せられた教員の言葉は、そんな私の考えを一瞬にして崩壊させた。
「今配ったのはどこの文具屋にでも売っている普通一般的な200字原稿用紙だけど、今日はその原稿用紙1枚に作文を。…そうだな、僕の第一印象でもテーマに書いてもらおうか。
 無論おべっかなんて使う必要は無いし、書いた内容で君等を差別するつもりも無い。
 ただ、これで君等の評価がつくんだから真面目に書くこと。文が滅茶苦茶なら評価だって落ちる事を忘れるな。
 以上。始めて」
開始の合図と共に、皆それぞれ自分の思うようにペンを走らせた。
抗議しようとする生徒も、疑問の声を上げる生徒もおらず、ただただどうしようも出来ずに言われた様にしか行動できないのだ。
この教員には、どこかそういう空気があった。