「え?それって……ホンモノ?」
俺は柏木さんの腕を指差した。
柏木さんはちょっとバツが悪そうに眉をしかめると、もう片方の手でタトゥーが施してある腕を隠すようにさすった。
「……偽物なんてあるんですか?」
「いや、シールとかね……」
さすがの裕二も驚きを隠せない様子だ。
「ああ、そう言う意味……?シールじゃありませんよ」
「……そう…なんだぁ」
かろうじて声が出た。
今まで抱いた女の体にタトゥーが彫ってあるのを、見たことがないわけじゃない。
ただ……何ていうの?上品な才女としてはあまりにもイメージがかけ離れてると言うか……
意外、というべきか。
こんな可愛い顔して昔はすっごいヤンキーだったとか?
や、アメリカにヤンキーなんて言葉が存在するのかどうかも謎だが。
これで納得が行った。
柏木さんがジャケットを脱ぐのに躊躇っていた理由が。
まさかマジもんのタトゥーがあるなんて俺らは想像もしてなかったから。
柏木 瑠華―――
益々謎めいた女だぜ。