座敷に戻ると、
「遅かったね☆」と裕二が俺を見上げてきた。
ちゃっかり柏木さんの隣を陣取っている。
しまった!裕二を先に帰すんじゃなかったぜ。
裕二は斜交いの席でにししと笑ってる。
してやったり、と言う顔つきだ。
ま、いいけどね……
俺は長期戦で行くぜ。
それにしても…
酒が入ったからかな、暑い。
よく見たら裕二も桐島も佐々木も上着を脱いでいる。
俺もスーツの上着を脱いで、ちょっとネクタイを緩めた。
食べ物を運んできたアルバイトらしき店員が、
「すみません、空調が壊れちゃったみたいで。ちょっと暑いかもしれませんが」
と申し訳なさそうに謝ってきた。
なるほどね、だからこんな異常なまでの暑さか。
元々体温が高いからかな?俺は暑いのが苦手だ。
したがって夏も嫌い。
店員が行ってしまうと、
「確かに。ちょっと暑いですね」
と柏木さんが掌でひらひらと仰いだ。
「ジャケット。脱いだら?」と桐島。
ナイス!
爽やか桐島。お前が言うとちっとも下心を感じさせない。
というか、こいつに限って柏木さんに下心は欠片もなさそうだが。