「クォーターってこと?へぇ、かっこいい」


女は分かりやすいほど顔を赤らめてはにかみながら笑った。


何がかっこいいんだ?


目の色が?


アメリカ人の血が流れてるから?


そんなどうでもいい事実をかっこいいって言う女が、急に浅はかに思えた。


変なの……


前はこれが武器に思えたのに。


今は褒められてもちっとも嬉しくない。


「あの……さっきの人もお友達?あたしら二人来てるんだけど、良かったら…」


ガチャ


トイレのドアが開いた。


「開いたよ。どうぞ」


俺は笑顔を貼り付けたまま、トイレのドアを親指で指し示した。


中から連れの女が出てきた。


女はちょっと目を開くと、おもしろくなさそうにちょっと表情を歪めて無言でトイレへ入っていった。


バタン!


強い勢いでドアが閉まる。


中から出てきた女がびっくりしたように、振り返った。


俺は苦笑を漏らして、肩を竦めると座敷に戻った。




わっかりやすい女。


よっぽど今まで男にちやほやされてたのか、自信があって自意識過剰。その自尊心を俺が簡単に砕いてしまったってわけだ。


まぁぱっと見可愛くないわけじゃないけど、何ていうか……


そそられなかった。


来るもの全てを拒まなかったら正直俺の体力がもたない。