佐々木は選んでもらった理由に不服なのか、がっかりしてるが、
俺にとっちゃ思わぬ大穴の登場に心穏やかじゃない。
「……佐々木さんは…犬みたいなんです」
柏木さんが静かに口を開いた。
「犬!?ぶぁははは!お前人間のオスに見られてねぇぞ」
裕二が大声をあげて笑い飛ばした。
「選ばれただけましです」
う゛、と言って裕二が黙り込んだ。
「犬って可愛いですよ。人間が与える愛情に見返りを求めないから。その点部長は猫ですね。
見返りとかの問題の前に、気分屋だからこっちが振り回されそう。
だから疲れるんです」
痛いところを……突いてくる。
確かに俺は女にマメじゃない。
会いたい=抱きたいときに抱きたい女に連絡する。(それは裕二も一緒だと思うが)
体が満たされりゃ、それでお終い。
そんな内面を柏木さんは薄々勘付いているのかもしれない。
その点佐々木は……
こいつは俺らと違って一途そうだし、好きな女にはとことん尽くすだろう。
女が好きなのは結局そう言う男なんだよなぁ。
「でも子供好きな男が嫌いって、どういうこと?佐々木くんはどう見ても子供好きそうに見えるけど?」
ずっと黙っていた桐島が口を開いた。