桐島を覗いた三人が身を乗り出すようにして、柏木さんを注目した。
「…そうですね、この中から敢えて選ぶとしたら……
佐々木さんですかね」
は―――……?
佐々木?
予想外の発言に俺と裕二はみっともなく顔を合わせた。
どちらも「何で俺じゃないの?」と表情をしている。
一方佐々木は「やったー!!!」と満面の笑みで手なんか打っている。
「はぁ!?ちょっと待って!何で佐々木なんだよっ」
俺より一足も二足も早く裕二が身を乗り出した。
柏木さんは裕二の迫力にも少しも押されずさらりと言った。
「消去法です」
「消去法……」佐々木が何だかがっくりしたように、うなだれる。
「だって麻野さんと桐島さんはほとんど初対面だから良く知らないし、部長とは……何か疲れそう」
疲れそうって……
裕二が今度は声をあげて笑い声を上げた。
疲れそうなんて女に言われたの生まれてこの方初めてだぞっ!!!
「で……残ったのが、僕だったわけですか…」
佐々木がどこかしょんぼりしてがくりと肩を下げる。
いいじゃねぇか。お前は選んでもらえたんだから。
俺なんて……疲れそうだぜ?