「部長!メニューはこっちにもありますっ。僕も追加ドリンク頼みますので一緒に頼みますよ!」


そう言った佐々木の目は真剣で、ちょっと焦っているようでもあった。


佐々木~~


そうだった。こいつの存在をすっかり忘れてたよ。


敵は裕二だけじゃなかった。


「生」


俺はふてくされたように言うと、佐々木は「良しっ」と言う風に嬉々として店員を呼んだ。


この一連のやり取りで大体どうゆう状況なのか察したのか、向かいの席で桐島が苦笑いを堪えている。


くそっ。


こう言うことはあんまり気乗りしないが、桐島を味方につけて応援を頼むか……


なんて考えてると、


「麻野さん」


俺の隣で柏木さんが静かに口を開いた。


びっくりした。


だって出し抜けに裕二を呼んだから。それに、ちょっと焦りを感じる。


「ん?」


裕二がまたも身を乗り出した。





「先程の質問ですが。私に好みの男性のタイプはありません」





きっぱりと、だけどちっとも嫌味を感じない堂々した答えだった。