【side由貴】




「由貴ちゃ~ん…!」


「………。」



その声に振り返って朝から賑やかな男の顔を見る。


「はよ~!……で。にこちゃん元気っ!?」


「………。」


俺の顔を見ると、こいつ…葉山瑠威は俺の彼女の話しを聞きたがる。


ムカつくので俺はいつも無視をする。



「~~~っ!!いい加減許して俺もにこちゃんに会わせてくれよ~~っ!?」


「………死んでも嫌だ。」



この要らぬ世話焼き男のおかげで彼女とケンカをした俺は、その日以来すっかり彼女の虜になったコイツと顔を合わせる度にこんなやり取りを繰り返している。



「もーつまんない下心はもちません~…!にこちゃんの美人な友達もこえーし…」


そう言ってブルッと震え心なしか顔を青くする。


どうやら彼女を可愛がるその友達にもこっぴどくしめられたらしい瑠威は…その恐ろしさにかなり反省したらしい。



彼女はと言えば…瑠威がしたことを怒る事もなく……


いつもの可愛い笑顔で…俺のためにしたことだから怒っちゃダメだよ?と、優しく言ってくれるけど………。


俺も…アイツの友情には迷惑ながらありがたいと思わなくもないけれど………。


もう微塵たりとも邪魔されたくない俺に、瑠威と彼女を会わせる度量は持ち合わせない。


なにせ、瑠威は自他ともに認める タラシ で……。


俺の大切な彼女は、めちゃくちゃ可愛い女の子だから。








「………由貴ちゃ~~んっ!!」


「………嫌だ。」