「……このまま、にこちゃん連れ去りたい」
「………!?」
突然のそんな言葉にあたしは驚いて顔をあげる。
「でも……俺、にこちゃんのことすごく…大事だから……。にこちゃんのお父さんとお母さんにも心配かけられないし、信用してもらいたい」
いつになくしゃべってくれる…由貴くん。
それは、あたしが大事だって…真剣なんだって…伝えてくれるためで……。
「………っ!」
それがわかって嬉しくて涙がにじんだ。
「うん…っ。由貴くんっ!」
顔をあげて由貴くんを見たら
ん?て、優しいいつもの微かな笑顔。
「もう…っ!すっごい……っ、大好きっ!!」
「………っ!?」
そのまま由貴くんの腕にぎゅうっとしがみついた。
由貴くんはまた困ったような顔をしてそっぽを向いてしまったけど、大きな手であたしの頭を優しく撫でてくれた。
「………俺も好き。」
「~~~っ!!」
ぼそっとちっちゃい声だけど、ちゃんと聞こえた。
やっぱり…きゅん死にしてもいいかも……。