一年……二年……三年…………あたしの髪は背中にかかるほど長くなった。
毎日毎日…勉強とエリさん…じゃなくて、先生の事務所でのバイトに明け暮れる日々を、あたしは過ごしてる。
「あ~…喉渇いた…。にこちゃーん、可愛い妹よー。お茶くれる?」
事務所の扉を開けるなりそんなことを叫ぶ美形な《お兄様》を、あたしは呆れ顔で迎えた。
「………玲(レイ)さぁん~…またサボってるんですか?」
じとりと見てやれば、美形兄は素知らぬ顔でお茶を受け取り飲んでいる……。
この人は……橘玲(タチバナレイ)さん。
8歳離れた、由貴くんの実のお兄さん。
エリさんの事務所に通うようになってすぐに仲良くなった。
由貴くん同様すっっごくかっこいいんだけど、掴み所がなくて飄々としてて…笑顔の裏があるような……由貴くんとは正反対なお兄さんです……。
だけど頭がキレるあたしの頼れる先輩弁護士だ。
一人っ子なあたしにとっても可愛がってくれるお兄さんみたいな存在…………なんだけど…………
「………昨日、由貴から連絡あっただろう?」
「………!!」