「………私はね、どんな依頼も極力断らずにしているの。」
「………!」
エリさんはあたしを見つめてゆっくりと話し出した。
「弁護士なんて…綺麗な仕事ばかりじゃないし、ドラマの中よりずっと地味で大変。
……でも、偽善だろうがなんだろうが…信念を持って私なりの正義の味方でいたいのよ。
………なんて!そんなことを言ってるから子供ほっといちゃって、駄目な親なんだけどね……。」
「………エリさん……。」
また苦笑するエリさん………
あたしは…由貴くんじゃないからどうなんて言えないけど……。
でも、あたしは……由貴くんの信念を貫くあの眼差しは……きっと、間違いなく、お母さんから受け継いだものなんだって思った。
それって子供のお手本になるいいお母さん…だと思うんだけどな。
それから、丁寧にお茶のお礼を言ってエリさんの事務所を後にした。
エリさんは……自宅じゃあ中々会えないし、またいつでも遊びに来て!…なんて指切りまでして言ってくれた。
素敵な人だな………。
それに……………
「…………弁護士…か…………。」