「………あれぇ~…?おかしいなぁ……。」
「…………。」
一条先生はさっきからずっとこの調子で……狭い資料室の中を行ったり来たりしながら、楡崎先生に渡すはずの資料を探している。
もう何分たったんだか………。
あたしは、これだったらそのまま由貴くんを待ってればよかった…と、初めに食いついてしまった短慮な自分を後悔した。
うぅ~…あたしのバカ………。
凛子がいたらほっぺたつねられるどころじゃないくらいに怒られてるよ………。
愛音のことも思い出して……早く会いに行きたかったのに……と、堪らない気分だった。
「………あったあった!ごめんね~、お待たせ!」
「………!」
その声にほっと胸を撫で下ろした。
「これこれ~!」
そう言って一条先生は一枚のプリントを顔の前で振って見せる。
無造作に四つ折りにすると………
「………ひゃあっ!?」
いきなりあたしの制服の胸ポケットに入れた………!