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引きずりこまれた場所は、辺りが真っ暗闇だった。
「姫」
聞き慣れた声がアタシの名前を呼ぶ。
「姫…俺だよ」
アタシを抱きしめる手にギュッと力を入れながらそう言った。
『…舜?』
「そう」
少し声が上擦った。多分さっきのことを思い出したから。
『どう、したの?』
「姫が男といるのが見えたから…あいつ誰??」
『あいつって、輝のこと?』
「輝!?輝って、七瀬輝!?」
舜の声のボリュームが少し大きくなり随分興奮した様子。
『うん、そうだけど…何で?』
アタシがそう問うと、少し考える素振りを見せてから、口を開いた。
「俺等さ…5人で護衛やってるだろ??」
『うん』
「本当は6人だったんだよ…まぁ現在進行形なんだけどな。」
『えぇえ!!マジで!?』
初耳なんですけど!全然知らなかったんですけど!マジ、期待を裏切られたんだけど!!6人!?なら、なぜに今その1人がいないんだ!?
『じゃあ、何でその人今までいなかったの??』
「そいつさ…事故ったんだよね…」
瞬は悲しそうな顔を浮かべる。
そっか、あんたの仲間事故に遭ったんだ…。
傷ついてたのに気づかなくてごめんね。
「…足、自動ドアに挟まれてさ」
『………は?』
「で、骨折してて運悪く入学前に入院。だから、今までいなかったわけよ」
…アタシの心配を返して欲しいよ、マジで。
傷ついてるだろうから、これからは傷が癒えるように労ってやろうと思ったのにさ…何ですか?このオチ。