あまりにも真剣な七瀬。
「早く!」
そう言ってアタシを急かす。
『分かったわよ!!』
何で、七瀬の名前を呼ぶくらいでアタシが緊張せなアカンのだ!!!
少し深呼吸をして自分を落ち着ける。
『スゥ…ひかっキャアッ!?』
…―グイッ。
急に伸びてきた手に引っ張られて輝って最後まで言えなかった。
「姫菜!?」
七瀬…輝の驚いたような叫んだような声がした気がするけど、今のアタシは自分のことで精一杯。
アタシ今誰に引っ張られんだろう?とか、“七瀬君と一緒!走って逃げて親睦会!〜シーズンⅠ〜”途中になっちゃったよとか。
一瞬の間で色んなことを思った。
本当に一瞬が長く感じた。
そして、目の前の扉が閉まり、とうとう輝の顔が見えなくなった。