『…へい?』





なんともマヌケな声が出た。
そして、本日二回目のフリーズ。





き、気のせいかな??
あまりにもアタシの名前を覚えないから、姫菜って聞こえるようになっちゃったのかな?






フッ…。目の前の彼はそう笑った。そして………






「姫菜」






もう一度、アタシの名前を呼んだ。






う、嘘だ……!!ありえん…!!
信じられなくて、自分のほっぺをおもいっきり両手で抓る。






『いひゃい……!!』






ほっぺには確かに痛みが感じられた。






「プッ。ウケるなその顔」


『な、何よ!失礼な!!』





七瀬にそう笑われて、まだほっぺにある手を慌てて元に戻す。
まだ、ほっぺが痛い…。





『てか、何なのよ急に…』


「何が??」






シラッと知らんぷりをする七瀬。

こんにゃろ…しらばっくれる気か、貴様!





『だ、だから!!』


「だから?」


『その…姫菜って呼んだから…』





姫菜の辺りから声のボリュームが小さくなっていく。





『言わせないでよ!!バカ!!』


「バカって…なぁ、お前も呼べよ」


『…何て??』


「俺の名前、呼べよ」





『何でよ!』出しかけた言葉を飲み込む。





そんなに真剣な顔しなくても…何でそんなに真顔なのよ。





七瀬の顔が真剣だ。