『ねーねー、八瀬ー』
「………」
『はーちせ!』
「………」
『みなしご八「だぁー!うるせぇ!!しつけーな!何だよ八瀬って!マジ誰だよ」
アタシ達は今二人で廊かを歩いている。
しかも、ギャーギャー騒ぎながら。
明らか、かくれんぼしてる人の声の大きさじゃないよね。
「おい。八瀬って誰だよ!」
『あなたのことですが?』
「はぁ?何で俺?」
『アタシの名前間違えるから、アタシも間違えてやった』
まださ、柏崎とか柏原とかなら分かるよ??
だけどさ、やっぱ柏毛は無いよね。ありえないよね。
「うわ〜。まだ根に持ってんのかよ」
『まだじゃないわよ!!これはアタシの死活問題にも関わっくるんだから!!』
自分で言うのもなんだけど、大袈裟過ぎだろ。
「あー、もう!分かったよ。悪かった」
降参とでも言うように、投げやりに謝る。
『じゃぁ、アタシの名前は??』
さすがにもう、間違えないっしょ!
次間違えたら真冬の太平よに放り投げてやる。
そして、末代まで呪ってやる。
そんな時だった…
「姫菜」
甘い声からアタシの名前が聞こえたのは。