「ねぇ、あのさ…」
『ん?何?』
七瀬君が、ものすご〜く、申し訳なさそうに話し掛けてくる。
「名前…どっちだっけ??」
『………は?』
少し…いや、かなりイラッと来た。
コイツ、ど突いていいかな?えっ?いいよね?
ダメな理由が無いよね。
アタシの名前覚える気あんのか?あぁん?
「聞いてる?木?毛?どっち?」
『…柏木だっつのー!!!いい加減覚えなさいよ!!!柏毛とか、そんな変な名前あるわけないだろうが!!アタシに謝れ!そして、全国の柏木さんに謝れ!!』
何なんの、本当に。
あの護衛軍団相手にするくらい疲れんだけど!!
「プッ…ごめん、ごめん」
目の前の七瀬君…七瀬は謝ってくるけど、笑いを抑えてるからか、反省の色が見えない。
『あんた、絶対悪いと思ってないでしょ!?』
証拠に目尻に涙溜まってんのよ!!
「悪かったって!」
『じゃぁ…アタシの名前は??』
これでも、分からなかったら、多分アタシ凹む…。
「か、柏…げ木姫菜!!」
『…………』
「な、何だよ…何でそんなに睨むんだよ!」
あんた、今げって言いかけたな?
スルーしようとしたよな?よしっ!!あんたの名前は今日から八瀬だ!!