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「良かったのか?」

「ん?…あぁ」




葵の言葉を横で流し騒ぎながら出ていくあいつらを、ただただ、呆然としながら見てた。




「あの女を追い出すチャンスだったのに…てか、詩が見逃すとか、どんな心境の変化があったんだよ……」





正直、んなこと、俺にも分かんねぇ。



ただ、“男友達でいい”なんて言う、あいつが面白くて、以外だった。




今までの奴らは、俺に近づきたい奴は偽善者ぶって世話を焼いてきたり、俺に近づくために優しくしてきたりした。




けど、結局は下心しかねぇ奴らばっかりで、最終的には「顔と身体が好き」なんてほざきやがる。




俺と話せたら満足。
あわよくば俺に抱かれたら満足。
初めから俺に向けられるのは、下心だとか欲求だとか、そんな薄汚いもんしかねぇ。





俺の顔ばっかり好きになって、俺自身…俺の中身を見てる奴なんか誰一人いねんだよ…。




あいつだって、そうだった。




信じて惚れてたら…裏切る。




女って生き物は残酷な言葉を簡単に口にし暗闇に突き落とす。




だから、女は嫌いだ。




だけど、あいつから俺に向けられた物は、怒りと悲しみだった。



俺に説教する女も初めて。




俺に男友達になれって言った女も初めてだった。





だから、本当に面白いって思った。



それと同時に恐怖も感じた。




「俺…自分が分かんねぇ…」

「…詩…」




あいつに言われた通り、女を嫌って遠ざけ、追い出してきた。だけどその後に残るのはあの時を想いだして苦しむ辛さだけ。




だけど、そうしてないと恐怖に押し潰されそうになる。




……本当に俺は何がしたいんだ??



自分が分からない…。