学園長を見てるとどこか懐かしく感じる。



どこかで会ったことあるようなそんな気がする。



その微笑みが誰かに似てる――そんな気がする。



アタシはたまらなくなり思わず“私達どこかで会ったことありませんか?”と聞いてしまった。



アタシがそう聞くと学園長は目を見開いた、心底驚いているかのように。



「どうしてそう思うんだ?」

『学園長の雰囲気が、誰かに…アタシの母に似ている気がするんです』

「君のお母さんに?」

『はい、母と同じ目をしてるんです…意志のある目』



お母さんと同じ目…。


揺るぎない思いをどこか秘めたそんな目。



アタシがそう言うと学園長は見開いた目を元に戻し今度はふわりと微笑んだ。



「そっか…」



学園長の顔が何だか嬉しそうに見える。


何対しての喜びかアタシには分からないけど。



「姫菜ちゃん…ありがとう」



そして、何故だか分からないけどお礼を言われた。



優しい空気が二人の回りを大きく包み込む。



―――まるでそこにしか空気が流れていないかのように。