あの地獄の時間に耐えたアタシは、今体育館の前にいる。
『あの…双子さん?縄…解いてくれませんかね?』
もう、勘弁してほしい。
両腕だけで持ち上げられるなんて。
腕が引きちぎれるかと思ったよ。いや、マジで。
今度こそ自分の足で歩きたい。
多分、今まで一番痛かった思い出だよ。
「ど〜する?亜夢?」
「ん〜、ど〜しよっか?江夢?」
『そ、そこをなんとか!!!』
神様!仏様!!閻魔大王様!!!
お願いします!!
解いてもらえるなら、チョコレート一週間我慢するから!!
もう、隼人と一緒に、颯太さんのお弁当、盗み食いしないから!!
舜のヨダレ垂れた写メも待受にしません!!
…あれっ?何か悪いことカミングアウトしてるだけじゃね…?
もう、この際何でもいいや!!
だから、お願いします〜!!!
思いよどうか伝われっ!!
「んじゃ〜、足だけね?」
『ほ、本当に!?』
伝わったー!!!!!!
アタシの思いが通じたよ!!
『あ、ありがとうこざいますぅぅ…』
「ただし。…逃げ出したらただじゃおかねぇからな」
『…は、はいっ!!!』
や、やばい…この人可愛い顔してメッチャおっかないこと言うんですけど!!しかも、双子だからどっちか分かんねーし!!
「って、ことで!中入ろー♪」
「ラジャー」
『………』
教訓。
双子に逆らうべからず。