そんな一方的かつ傲慢な提案に激怒したのは兄たちで。
「可愛い可愛いユラを他国へなんかやるか!」
「当たり前だ。隣国? 潰してやる」
「デビュー戦にちょうどいいね」
長男・次男・三男の個性がありありと出た台詞を聞き流し。
「私、行こっか?隣国に」
『え”!!!』
「ふーむ…その心は?我が娘よ」
「まずは偵察。婚姻云々は置いといて、隣国を調べるいい機会だよ。
あわよくば隣国の鉱石に関しての情報もほしいし」
隣国は特殊な鉱石が出ることで有名だ。
林檎石と呼ばれる紅い色の石は、様々な用途に使用可能だ。とても魅力的である。
何より自分が研究したい。ぶっちゃけ、喉から手が出るほどほしいっす。
「…声に出てるぞ我が娘よ」
「やべ。ぽろっと本音が…」
「……よし、わかった。偵察を許可しよう。条件つきで―――」
こうしてお姫様は隣国へ偵察に行くことになったのでした。