―――そして、イル隊長が城を発って七日目の昼。
『イル隊長のご帰還です!』
朝から慌ただしく走り回る兵士たちを見て大体悟っていた私は、既に父である王の書斎に入り浸っていた。
今日ばかりは研究所に引きこもりがちなフレイア兄さまも居る。
「ふーん。やっぱり彼の国は条件を出してきたかー」
予想通りだー。と、椅子の背もたれを限界まで反らす我が父。……こんなんでも王である。
しかし、大体、戦をする理由もないのに一方的につっかかってきた隣国の考えなんて、高が知れてる。
大方、我が国の魔法工学の技術が欲しいのだろう。
わざとちょっかいをかけてきたのである。
と、なれば。
条件の内容もやっぱり。
「『第一王子と第一王女の婚姻』ねぇ…
今時古くね?」
もう一度言う。
こんなんでも王である。