「お、国一番のモテ男・近衛隊隊長のイル隊長ではないっすかー。元気?」


「……何ですかユラ様そのながったらしい枕詞。
元気ですよ。機嫌は悪くなりましたけど」


「悪くなっちゃった!?あはは!
ところで何してるんすかこんなとこで。
隊長ともあろうお方が、城の中庭でサボりっすかー?
たまにはいいと思うよ!」

「止めろよ。いや、サボりじゃないですよ。決して。
大体こんなにしっかりと装備しといて、サボりと思うんですかアンタ」


「ははん!世の中何が起こるかわからないっすからねー。
具体的に言えば、最近調子のってる隣国が我が国にちょっかいかけてきたりする世の中だし?」


「…わかってんじゃないですか。
隣国が戦争ふっかけてこようてしてるからこそ、近衛隊の出番なんじゃないですか」


「…隣国の動向を探るべく、隊長自らが赴く。
出発の日の朝は、隊長の目にはどううつる?」


「そうですね。
貴女の瞳と同じ、この暁の空は―――――士気が上がります」


「十分。万事うまくいく。
いってらっしゃい、イル隊長」


「―――いってきます、ユラ王女」