「此方がイル様のお部屋でございます」
今は部屋に案内してもらっている最中だ。
物静かな侍女さんが指した扉を開ければ…まあ豪華だよね。
これでもか!みたいな装飾だった。
因みにうちはかけるとこにはかけてるけど、リラックス重視なのでここまでじゃない。あー、うちに帰りたい。
「すみませんが、私の部屋とはどういうことでしょうか?
妻は一緒ではないのですか?」
そうだ。夫婦を演じてるのだから、一緒の部屋で然るべきだろう。どうでも良すぎて気づかなかった。
まぁ、イルにしたら一緒の部屋じゃないと警備の問題があるから何かと都合悪いよね。
「ええ。奥様は奥のお部屋になります。廊下の突き当たりの、一番豪華でお広いお部屋になります。
これは警備上、奥のお部屋が守りやすいからだと聞いております。
お二方はご夫婦でいらっしゃるそうですが、我が国では夫婦は別部屋が当たり前でございます。
何とぞご理解を」
キッパリ言い切られた。
……え?これ、従った方が…?あれ?