「ショウ！ご指名。」


ポン、と俺の肩を叩きながらアキラが言った。


「ああ…。」


答えながら、示されたテーブルの方を見る。



「…誰？新規の客？」


見覚えの無い客だった。


「あ～…。新規じゃないぜ。
ほら、1年位前にお前に会いたいからって、毎日通い詰めてた客いたじゃん？久々会いに来たんだと。
ショウ覚えてないのか？」


アキラにそう言われ、再び客を見る。


「そう…言われれば見たことある気も…。名前、何だっけ。思い出せねぇや…。」


「名前…？何だったっけかな…。カナエとかサナエとか…。」


「サナエだ！」


良かった。

俺は客の元へ向かった。



その日、久しぶりに店に来た客、サナエは高級ボトルを入れてくれ、今ニューヨークに住んでいると、ひとしきり自分の自慢話を披露し、上機嫌で帰って行った。