「ショウ~、お前、今日はもう上がれ。」

2組目の客が帰ったあと、ハヤトさんに言われた。


「…え…?でも…今日客けっこう多いっスよ。」


俺はそう答えた。


店内には、平日の夜の割には客が多く、席もほぼ埋まっていた。

普通なら、とてもじゃないけど、帰れる状況じゃない。


なのに何で…




「お前が帰るまで動かないぜ。あの子…。」



ハヤトさんの目線の先には、莉子。


「お前の彼女だろ?」


「やっ…あの…。」


顔が一気に熱くなるのが分かった。



「隠すなって。分かるっつの。…ったく、ホストが一人の女に形無しかよ…」



ハヤトさんが頭を掻きながら言った。



…ほんとに、ハヤトさんには敵わない。



「ありがとうございます!」


「今日だけだぞ~。」