「お待たせしましたぁ~」



聞き慣れた声にはっとして顔を上げる。



翔だ。






「もぅ~。ショウちゃん待ちくたびれちゃったわよ~」



「ごめんごめん~」



言いながら翔はお客さんの隣に座る。



私は翔とお客さんのやりとりをじっと見つめた。



翔の隣にいる女の人は、40歳後半くらい。

派手な化粧に服…。


手には色とりどりの宝石がついた指輪。


見るからにお金持ちそうな雰囲気…。



その女の人が翔にもたれかかって、甘えた声を出している。



翔も女の人の肩に腕を回し、耳元で何か言っている…。



…これが、翔の…。


瞬きをするのも忘れ、そのやりとりを見つめていると、視線を感じたのか、翔がこっちを見た。


…翔と目が合った。



私に気づくと、翔は驚いたような顔をしたが、すぐにお客さんの方に向き直った。