「ご指名などはありますか?」


ホストがにこやかに私に尋ねる。





…ご指名…



「あっ…の…、翔は?翔をお願いします!!」



「あ~…ショウですか。すでにお待ちのお客様がいらっしゃって…。こちらの席につくまでしばらくお時間はかかりますが…。」


「大丈夫ですっ!待ちます!」


私は即答した。


ここまで来たなら待つわよ。じゃなきゃ来た意味が無い。



「かしこまりました。では、ショウが来るまで、他の者がお相手いたしますので。」



「はい。」


「しばらくお待ち下さい。」




一人になった私は店内をキョロキョロと見回した。


きらびやかな装飾…BGMはノリのいいトランス…。



私と同じように席に座っているお客さんもみんな華やかで…。



私なんか、服も髪も全て地味…。


完璧場違いなとこに来てしまった。


恥ずかしくなった私は、うつむいて、テーブルに置かれたコースターを見つめていた。