お店の名前と場所は翔に聞いていたからすぐに分かった。




…でも…


入るのにすごく勇気がいる…。




しばらく店の前で立ち往生していた私だったけれど、意を決して店の中へと足を踏み入れた。



階段を降りて行くと…


「…翔だ…」



翔や、お店で働いてる他のホスト達が映っているパネル…


私が見たことないような表情だった。


仕事用の顔だろう。



「いらっしゃいませ~」



ホスト達に迎えられた。


「お一人様ですか?」


「…え…あ、は…はい。」


「ありがとうございます~。どうぞ~。」


案内された席に私が腰を降ろすと、すぐにおしぼりが差し出された。


「当店のご利用は初めてですか?」


「あ…はい…。」


しまった…一人でなんてくるんじゃなかった…。


あまりにも場違いな雰囲気に圧倒され、私は今更来たことを後悔した。