「俺、綺麗好きだから。」


翔は、私の心を察したかのようにそう言った。









…よく考えたら、私、見ず知らずの人に情けない姿見せて、迷惑かけて、コーヒーまで頂いて…―。


少し冷静になった頭でそう思った私は急に恥ずかしくなってきた。



「あのっ…!私、帰るねっ」


コーヒーカップをテーブルに置き、私は椅子から立ち上がった。





「どこに帰んの?」



翔に言われた。




「えっ…と…」



「帰るとこ、ないんでしょ?」

「…………。」


…確かにそうだ。私、帰る家も無い…。


どうしよう…。



「ここ、いてもいいよ。」


「えっ!?」


翔の言葉に私は驚く。



「狭いけど。」


言いながら、翔はタバコの火を消した。






これが、翔と私の出会いだった。