「この前のテスト、何点だった?憂」

「うっ……」

「コイツ、ギリ赤点だって嘆いてたな」

「真姫ぃぃ!」

「はぁ、ギリ赤点って泣けるね」

「詩織ぅぅ」



きゃーぎゃーやってたら後ろとぶつかった。


「ご、ごめん。大丈夫??」

「いや…」


よろけて転けた彼の周りにはテニスボールが転がっている。

「あぁ、ごめんねごめんね!!」

「いや、いい…」


よく見たらちょっと、カッコいい。

黒髪に鋭い瞳。
意外にゴツゴツしてる、大きい手。

フムフム。
ここで逃がしたらきっと後悔するな。


「テニス部なんだ」

「まぁ。そっちは」

「私はチア部」


私が答えたと同時にボールは拾い終わった。


「チアか。応援しようとしまいと、あんまり関係ないよな」

「どういう意味?」

「アンタらが応援したところで何も変わらない。プレイヤー自信が強ければ、応援なんてなくても、勝てる」


言い終わると彼は颯爽と帰ってしまった。