あっ、と思う。

この香りはあたしが普段
使ってる香水のものではない。

嗅ぎなれた葵のものでもない。

だとしたら思い浮かぶのは
ただ一人…。


りく、だ。


昨日、屋上で出会ったた人。

りくはあたしを前から
知っていると言っていた。

あたしは知らなかったけど。

笑った顔が優介に似てるんだ。
何気なく笑った顔が…。


りくが一体、何年生の人で、
どういう人なのかも
あたしは知らないんだ。