なぜ見知らぬこの人に そんなことを言わなきゃ いけないのか。 『ねぇ…答えてよ。』 りくの顔がさらにあたしの 顔と近くなって、思わず 顔を伏せる。 「わ、分かった!答えるよ! さっきあたしは… 彼を思い出してたの…。」 そう言った自分の声が 思っていたより冷静で、 びっくりする。 『彼って…?』 さらに聞いてきたりくに、 一瞬戸惑うが、自然と言葉 が口から滑り落ちる。