痛くて堪らないはずの体
を無理やり動かして、
近くにいたお母さんの
肩を掴む。

「ゆ、優介は…!?
優介はどこにいるの!?
優介は!?」

優介がそばにいないこと
が今はたまらなく不安に
なる。
嫌な予感がしていたけど
頭の中から消す。
そんな予感、あって
たまるか。


お母さんの肩を強く
揺すると、お父さんが
あたしをお母さんから
引き離した。

「やめるんだ、舞。」

お父さんの後ろで、ただ
俯いて泣いているお母さん
を見て、一瞬で何のこと
かを理解する。

「ま…さか…」

あたしが最後まで言い
終える前に、お父さんの
乾いた声が病室に響く。


『優介君は…
亡くなったんだ…』


その瞬間、目の前が
真っ暗になり、視界が
大きく揺れる。
お父さんの言っている
ことが分からない。

優介が…死んだ?

そんなの嘘だと思って
強い瞳でお父さんと
お母さんを交互に見る
けど、目を逸らされた。

その瞬間、本当に優介は
死んだのだと理解する。


「嘘…。」

知らない間に涙が頬を
伝って布団に落ちる。
止めどなく流れ落ちる
涙がさらに視界を滲ませる。

ただただ、信じられな
くて、声を上げて泣いた。


優介はもういないんだと。