幼い頃からの同級生ではあるが、幼馴染とは言えるほどの仲ではない。

先生が頭を悩ませるほど、おてんばだった私。
そして恭司は、男の子の中でも目立つグループにいた。

目を合わせては『見てんじゃねーよ!』と怒鳴り合ったこともあったのだ。
そんな恭司と学校以外で会うということも初めてのこと。
もし愛子が呼び出した電話の時点で、恭司がいることを知っていたら私はここに来ていないだろう。


 もしかして私、卒リンされるのっ!?もしかしてあの時の事まだ怒ってるとか!?愛子もグルなわけっ!?いや、愛子に限ってそんなハズない!

そんな思いが私の頭の中をグルグルと駆け回り、すっかり混乱していた。


 落ち着け~落ち着け~……。
私は自分に言い聞かせる。


20~30分は目も合わせずに黙っていただろうか。
長い間考えていたような気もするし、ほんのわずかな間だったのかも知れない。


「あのさ……寒いから帰るわ。なんか話でもあった?」


だんだん逃げ腰になり、沈黙を破ったのは私だった。
その言葉に少しビクッとした恭司に、内心はビビッているのを必死で隠し、堂々として振舞ったつもりの私もつられてビクッとする。


「あ、そうだな…さみぃな…」


と、ひと呼吸おいてまた口を開こうとする恭司。


すると。


「俺…と、付き合ってください」




「……!?」


恭司の言葉に私は絶句し、一瞬心臓が止まったかと思うほど驚いた。

そして硬直したまま一拍おいてまた驚く。

 えぇっ?!恭司と付き合う!?

消えるようなか細い声で発した恭司の言葉に耳を疑い、目を大きく見開いたままの私の顔。