あたしは本当に何も覚えていなかった。




「そうか、まあ、何でもねぇんならいいけどな」


「うん。何でもないから大丈夫」





笑顔を見せてそう答えると、先生に軽くキスをされた。



一度だけじゃなく、何度もついばむような軽く触れるだけのキス。



それだけで深くならないキスにあたしは物足りなくなってきた。