あと少しでメロンパンがなくなるという時にクラスの扉が勢いよく開いて、一切の動作を止める。



「ひびのれんっている?」



そして自分の名前が出た事に驚いて、手に持っていたメロンパンが私の手からするりと落ちた。



「あーっ!」



それと同時に叫んだのはクラスの誰かでも、勢いよく扉を開けた人物でも、私でもなくて親友の萌で、萌は扉のところに立つ人物に指を向けると、「購買の…」私にしか聞こえないくらい小さく呟いた。

それを聞いて、私は今さっき萌と話していた私を探してるという男子の事を思い出す。どうやら彼の言う“ひびのれん”は間違いなく私の事らしい。

あまり関わりたくはないけれど、この場をおさめようと言葉を探して口を開く。



「えーと、メロンパンどうしてくれますか?」



クラスの雰囲気がより一層張り詰めた気がしなくもない。