独り言に返ってきた声に驚いて、振り返ると大好きな親友の佐伯萌花(サエキモエカ)がいた。



「萌!」

「やっほー」



手には菓子パンがたくさん入ったビニール袋を持っていて、少し持ち上げると、



「お昼にしよう」



と言った。


***


「勿体ないと思うなぁ」

「何が?」


気のない返事をして萌の買ってきたたくさんの菓子パンの中から私はメロンパンを取り出して封を開ける。



「恋しないなんて」

「しないんじゃないって何回も言ってるでしょ!」



私が何回目かわからないその掛け合いを終わらせようとするも、萌はなかなか引き下がらない。



「だってれんは隠れ美人なのに」

「そんなことないってば!」



そんな萌にだんだんとイライラも募って思わず大きな声が出る。

はっとした時にはクラス中の視線が集まっていて、何でもないと言えばすぐにいつもの空気に戻った。