「れんー!」
「佐奈ちゃん!どうしたの?」
「聞いてよ!彼氏がさー」
そんな訳があって私、日比谷恋(ヒビヤレン)は青春真っ盛りなのにもかかわらず恋に関しては聞く事専門だった。
私はどうやら相談に乗るのがうまいらしく、最初は親友の話を聞いて場合に応じたアドバイスをしていただけなのに、いつの間にか違うクラスの女の子までもが相談しにくるようになっていた。
「浮気してるかまだ確信がないなら無理に問い詰めない方がいいかも。別れたくないんでしょ?」
私からしたら一般論を述べているだけ。
なのに、それを伝えてあげるだけで曇っている女の子の顔が笑顔になるのが私はたまらなく嬉しかった。勝てた気分になれるから。
けど…
「れん、ありがとう!私頑張るね」
「うん、頑張ってね」
勝った気分になれるのはほんの一瞬だけ。
相談されるのは嫌いじゃないけれどやっぱり恋には勝てないのが悔しくてしょうがなかった。
「恋で切なくなるのは私もみんなも同じかぁ…」
「どうして?」