五十嵐なら分かってくれるかもしれない、なんて思ったのかもしれない。

でも次の五十嵐の言葉は、予想していたものとは全然違っていた。


「やっぱりな。
どうせ女なんてそんなもんだよな。
たいした理由もないのに、噂で聞いたからとかいって嫌いになってさ。
んで、表面上仲良くするくせにそいつのいないところで愚痴ったり。
所詮女の友情なんてそんなもんだろ?」


五十嵐のこの言葉にあたしは腹が立ったけど、同時に悔しくもなった。

あたしは五十嵐が言った様な事をしようとしていた。
美津菜に、華耶の事を言おうとしていた。


でも…

「そんなの、女とか男とか関係ないじゃん。
あたしはそんな適当な理由で嫌いって言ってるんじゃない。
何も知らないくせに勝手なこと言わないでよ!」


五十嵐の馬鹿にする様な言い方には、黙っていられなかった。


五十嵐からの返事はない。
ちょっと言い過ぎただろうか……いや、気にする事はない。
あれだけ酷い事を言われたのだから、あれ位言っても許されるだろう。


結局そのまま一言も話さずに、文化祭は終わりを迎えた。