一番前の子が、「やっぱかっこい~!」と小声で言ってるのが聞こえた。

その言葉であたしは全てを理解する。
皆、五十嵐目当てで来ていたのだ。

綿あめは、五十嵐効果によって飛ぶように売れた。

まぁ、学年トップのルックスとなれば、皆興味を示すのだろう。
ちなみに、トップと決めたの美津菜だけど。
でも、五十嵐の顔を見れば誰も反論はしないだろう。



文化祭も終盤になり、客も少なくなってきた。

綿あめは思った以上に人気で、砂糖も僅かしか残っていない。

まあ、お客の四分の三は女子だったけど。


今日はどっと疲れた。
今日の売り上げ数えてみよっかな……。
そう思い、あたしは俯いてお金を数え始めた。


「綿あめ二つくださぁ~い!」


また女子か。
どうせ五十嵐目当てなんだろう。

そう思いながら顔を上げると、そこに居たのは華耶と大地だった。