顔が真っ赤になるのを感じながら、

両隣に座るお婆さんとサラリーマンさんに慌てて頭を下げて顔を伏せ気味に座った。

その様子をまだ周りの人達から珍しそうに見られるのが分かったので、
伏せ気味だった顔をもっと下に向けた。

―…恥ずかしい。恥ずかしすぎるぞ、自分。

もうこれで何回目だろうか。

先月入学した桜ヶ丘高校に向かうために必要なこの電車内で

自分で作る歌詞が気に入らなくて叫ぶのは。

何回自分に「学習しろ」と突っ込んだか分からない。

それでも、

毎日の通学路、いや電車の中で歌詞を書く作業はやめられない。

歌手になりたいから作詞も作曲もする。


…だけど、

恋愛経験0の私には、恋愛の歌詞を書きたくても何だかありきたりな事しか浮かばない。

…難しいなぁ…。

――日向 心愛(ヒナタ ココア)15歳

黒髪、猫目、鼻ちっちゃい。

性格は友達皆が声をそろえてこう言う。

「「亀!」」…なぜ亀なんだろう。

マイペースならぬ、亀?