私の名前は、
木崎羽那(キサキハナ)。

今年で22歳。


高校卒業後、地元の会社に就職していたんだけど、半年で退職。


理由は、他の人から見れば、ほんの些細な事。



――『最初から別の人に頼むべきだったわ』



アナタニタノンダノガ

マチガイダッタ



はき捨てるように、上司から言われた、

このたった一言が、私には耐えられなかった。



その日以来、よく嫌味を言われるようになった。

大きな声で怒鳴られる事も……。


だけど

誰も私に優しい声をかけてくれる人はいなかった。



冷めた職場。



そのまま、だんだん孤立していった――。



それからは、片道40分の通勤時間が、とても長く感じるようになって。



18歳の私が選んだ道――


それは「逃げる事」だった。