「…いお…くっ?」


薄く開いた目に色濃くはっきりと、いお君の姿が映し出される。



「美優マジありえへん。俺から離れられるとでも、思てたんか?」



いつの間にか和葉先輩の姿はなく、街頭の光もない場所にいた。

薄暗い路地、頼りになるのは月の光だけ…



風に揺れ開いたばかりの桜の花びらが、切なそうに散っていく。



「美優は甘いんよ。俺のこと甘く見すぎてるし」


「…何言って?」


「俺、美優手放すわけないやん。これからも先、俺が愛せるのは美優だけやし」




ぎゅうっと手に力がこもる。