「じゃあ、何で美優のケータイから?」



時刻を見ると、ちょうど体育の時間。

私が唯一ケータイを手放す時間。



でも、ロッカーに入れておいたはずなんだけど…


考えていると、ゆっくりと体に重みを感じた。

ぎゅうっと大好きな香りに包まれる。



「ほんまにわけわからんくなった。美優と離れたら、俺、自分じゃなくなる…」



力強さがその言葉をもっと強調してくれた。


私の胸はその言葉でいっぱいになる。



―教室を出て、階段を下りる私達。


まさしくその時だった…