「(胡桃坂さんったら、困った方ですわ)」
「(友達らしい友達が初めてて大変緊張なさってますわね)」
「「(邪魔ですわ)」」
華苗と繭による黒い会話を知る由もなく……あたしは絵理子の話に耳を傾けた。
「今朝、蕪城先生はなんとバイクでいらしたんです。まずそこで、確実に皆さんの目の色が変わりましたわ。わたくしのパーティーにお招きしたのは同学年の方だけでしたので、他学年の方の食い付きは相当なものでしたわ」
ぶるりと身体を震わせた絵理子を見て、あたしも思わず腕をさすった。
……確かに元があんなにカッコいいと、余計に…だよね。
黙って頷き先を促すと、絵理子は話を続けた。
「眼鏡もおやめになりましたわ。髪の毛も、今までより幾分か自由に遊ばせていらっしゃって。……それはもう、美目麗しい限りです」
ほうっと熱の籠った溜息を漏らした絵理子に冷ややかな視線を向けると、慌てて弁解を始めた。