その人は不思議そうにこっちを見てきた。


「……お前……。何で見ず知らずの人に声かけるんだ……?」


その人の顔はよく見えなかったけど、声はすごくきれいだった。


「……え……、だって、風邪ひくから……。」


「ふーん……。」


その人はちょっとからかいみたいな笑いをした。


そして少し見てみるとその人の口元から血が出ていた。


「あの……口から血が……。」


「あぁ、これか。これは……。」


「大変!!消毒しなきゃ!!」


彼の言葉を遮るように言った。